PCMサーマル・インターフェース(導熱)材料

PCMサーマル・インターフェース材料とは

PCM(Phase Change Material:相変化材料)を用いたサーマル・インターフェース材料(TIM)は、 CPUやGPU、パワー半導体、LEDなどの発熱部品とヒートシンクの間に挟み、熱を伝える材料です。 常温ではシート状の柔軟な固体で、組み立て時に扱いやすいのが特徴です。

半導体の発熱によって一定温度に達すると軟化して接触面の細かな凹凸に密着し、熱を伝えにくい空気の隙間を減らします。 これにより接触熱抵抗を大幅に下げ、放熱を助けます。

PCMの特徴

PCMの主な特長

  • 相変化温度は45°Cです。加熱時に軟化・流動化し、冷却時に固化します。
  • 高熱伝導フィラーと非シリコーン系特殊ポリマーを採用しています。
  • シート状で取り扱いや貼り直しがしやすく、組み立て時のはみ出しを抑えやすい材料です。
  • 繰り返しの加熱・冷却でも密着性を保ちやすく、オイルリークやポンプアウトを抑制します。
  • HTB、サーマルサイクル、HASTなどの加速劣化試験下でも低い熱抵抗を維持します。

代表的な放熱材料との比較

放熱材料 特徴 使い分けのポイント
PCMサーマルインターフェース 加熱時に軟化して界面に密着し、冷却時には固化 取り扱いが容易で、隙間の埋め込み性に優れるため、熱抵抗低減効果が大きい
サーマルグリース

ペースト状で微細な隙間を埋めやすく、熱抵抗を小さくできる

スクリーン印刷や定量ディスペンスが必要なので、組み立て時の取り扱いが難しい

高温時の粘度低下で流動性が大きくなるので、ポンプアウトやブリードアウトが起こりやすい
熱伝導シート/パッド 固定サイズのシートなので取り扱い・組み立てが容易 熱によって流動しないので、表面凹凸には追従せず空隙が残り、熱抵抗が下がりにくい
ギャップフィラー 柔らかいパテ状で、比較的大きな隙間や段差を埋める用途に適する 数百µm~数mm程度の大きなギャップ向けなので、熱抵抗は比較的大きい。
熱伝導接着剤 放熱と接着・固定を同時に行える 熱抵抗低減の効果は大きいが、硬化後はヒートシンクの取り外しはできないので、リワーク性に劣る
グラファイトシート 面方向に熱を広げる特性がにあるので、ヒートスプレッダー用途に好適 界面の隙間は埋められないので、ヒートシンクとのスタックでは、放熱効果は限定的
金属系TIM 非常に高い熱伝導率が得られる。室温で固体のものと使用温度で液化するものもある 電気導電性があること、合金化による腐食があることに注意

適した用途

PCMは、薄い界面で低い熱抵抗と組み立てやすさの両方が必要な用途に適しています。 CPU・GPU、パワー半導体、通信機器、車載電子機器、LEDモジュールなど、発熱と冷却を繰り返す機器で使用できます。

ポンプアウトによる熱抵抗の上昇

時間経過による熱抵抗の変化。PCMはほぼ一定で、シリコーングリースと熱伝導ゲルは上昇するグラフ

製品

製品番号 熱伝導率 W/m·K 熱抵抗 K・cm2/W 体積抵抗率 Ω·cm 密度 g/cm³ 比熱 J/g·K 相変化温度 °C 規格厚さ/BLT µm 備考
PCM8885 8.5 0.038 2.1 x 1014 2.80 1.05 45°C 20-25/20 標準品
PCM8896 9.6 0.04 2.1 x 1014 2.85 TBD 45°C 15-50/25 高熱伝導品

ディスペンサで塗布できるタイプのPCM-Pasteもご用意しています。

信頼性試験後の熱抵抗(ASTM E1461)

  • 最終熱抵抗:0.04 K·cm2/W
  • 150 °Cで1,000時間の高温保存後:0.04 K·cm2/W
  • 85 °C・相対湿度85%で1,000時間の高温高湿試験後:0.04 K·cm2/W
  • −55 °C~+125 °Cで1,000サイクルの温度サイクル試験後:0.045 K·cm2/W